男所帯で負のスパイラル

2011.11.26

ちょうど、こんなエピソードがあった。私はある高級住宅街に、一階が二戸の店舗、二階〜五階がワンルームマンションなっている収益不動産を持っていた。この建物は自分で建てたものだが、完成後すぐに一階の店舗のひとつにはアクセサリーのブティックが入った。内装も外装も凝った工事をしてくれて、高級住宅街の街並みとも非常にマッチしたよい雰囲気を作ってくれた。私は希望通りの入居者が決まって喜んでいたが、もうひとつの店舗がいけなかった。

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ある脱サラした男に食事処をするというので貸しだのだが、これがみすぼらしい店になってしまった。コンクリートの壁に直接ペンキを塗り、海の家に置かれているようなイスとテーブルを置いただけの内装になってしまったのだ。おまけに、気味の悪い顔をした招き猫がわざわざ玄関口に置いてあり、店を閉めている時でも顔だけはバッチリ見えるようになっている。そのうえ、夜には客達が大声で歌を唄い出す。私は「えらいこっちや!」と思ったが、あとの祭りだ。歌の注意はしても、簡単に追い出すワケにはいかないのだ。こうなると、マンションの入居率も悪くなる。特に女性には敬遠されがちになり、入居者が男ばかりになって来た。男所帯になると、どうも風紀が乱れる。共用部分もよく汚れるし、ゴミの捨て方や自転車の置き方も乱雑になる。男子体育会系の部室みたいなもので、気が緩むのかもしれない。しかし、大家としては放ってはおけない。色々な注意を書いたポスターを貼るが、これがますます女性に嫌われ、さらに男所帯が進んでいく。まあこれが、負のスパイラルというものだろう。ただ運よく、この食事処がすぐに家賃の滞納を始めた。





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